「意欲」と「創造性」に溢れた未来のため、10代の子どもたちの居場所づくりや学びのサポートに取り組んでいる認定NPO法人カタリバ。
広告やホームページから訪れた寄付者様との最初のコミュニケーションとして『retailor』をご活用いただいています。
そこで今回は、Web広告の運用を中心としたデジタル領域のマーケティングを担当なさっている藤沼様に『retailor』導入の背景や、導入後の成果について伺いました。
スマホのフォーム離脱率に大きな課題
ワンスター(以降OS):改めて貴社の事業概要と今担当されている主なミッションを教えてください。
藤沼様:認定特定非営利活動法人カタリバの藤沼と申します。弊団体は「どんな環境に生まれ育った10代も未来をつくりだす意欲と創造性を育める社会」を目指し、2001年から日本国内の10代を中心に教育活動を展開しているNPOです。活動をしていく上で、活動資金の多くを企業様や個人の方々からご寄付という形で頂戴し運営しております。私の担当業務といたしましては、主に個人の方々を対象に、インターネット広告の出稿やLPO、EFOなどのサイト改善など通じ、コミュニケーション施策を展開することです。
OS:そのコミュニケーションの設計は、インターネットがメインとなっているのですか?
藤沼様:はい。インターネットをメインにコミュニケーションを行っております。
OS:日々PDCAを回す中で、課題感があってretailorをご検討いただいたかと思うのですが、導入前はどんな状況で、どのような課題がありましたか?
藤沼様:課題感としてはスマホのフォーム離脱が多いことですね。retailor導入前にもいろいろと施策を回していたのですが、なかなか成果が上がらず大きな課題となっていました。フォーム完了率が思うように上がらないことで特定のメディアによっては広告を十分に配信できない状態が長く続いていました。
OS:その課題は恒常的に発生していたのでしょうか?
藤沼様:そうですね。恒常的に発生しておりました。
OS:そういった中でretailorを知り、ご検討いただく流れになったと思うのですが、retailorをご存知いただくきっかけはどのようなものでしたか?
藤沼様:弊団体の活動を支援してくださっている専門家の方から、retailorをご紹介いただいたことがきっかけです。
OS:ちなみにその方にはどういった文脈で、retailorをおすすめされたのですか?
藤沼様:自社主導でEFO施策を展開しても思うように成果が上がらなかったので、ここは実績のある支援会社様とパートナー契約を結んだほうが成果を出すために近道になるだろうということと、支援会社様に入っていただきPDCAを回すことで、社内リソースをもっと他のところにかけられるのではないかとご助言いただきました。
OS:つまり数字面以外にリソースについても課題があったので、一緒に解決できるのではないかと助言いただいたということですね。
藤沼様:まさに。おっしゃる通りですね。
OS:ありがとうございます。もともと他のEFOツールやチャット、フォームの改修を取り扱うサービスやプロダクトについてご検討されていましたか?
藤沼様: retailorを導入する前は熱心には検討していませんでした。信頼している専門家の方からretailorをオススメしていただいたことと、実際のご提案の内容が素晴らしかったため、導入をさせていただきました。
OS:では、導入された決め手は信頼している専門家の方からの勧めが大きかったと思いますが、他に何か決め手になった部分はありましたか。
藤沼様:貴社からご提案をいただいた中で、「結果が出るまで何回も改善施策をご提案いただく」とおっしゃっていただいたことが大きかったです。同じ目線で協働ができそうだと感じましたし、すごくご丁寧にご説明やご調整などをしていただき、コミュニケーションも円滑に行っていけそうだと思いました。
OS:弊社の営業担当の対応に快い印象を持っていただけたということですかね。
藤沼様:そうですね。
「寄付者様の体験価値が上がるサービス」で信頼感が向上
OS:実際に導入していく中で、タグ設置だけでできる点も弊社としては強みだと考えております。導入時のタグ設置についてはいかがでしたか。
藤沼様:導入はとても簡単でした。本当に数分~数十分で終わるような作業でした。また、貴社との取り決めで、万が一システム上のトラブルなどの問題が発生した場合は、タグを外していただいてもオッケーですよという風に言っていただきました。とても丁寧に、親身になってコミュニケーションを取っていただいたので、すごくありがたかったです。
OS:とは言え、作業もいきなり本番環境で行っていいのか、ステージング環境で行くのかなど、何回も打ち合わせさせていただいた記憶がありますよね。
藤沼様:そうですね。「決められた作業をやっておいて下さいね?」というスタンスではなく、「これは大丈夫ですか?」というように念押ししながら、本当に丁寧に丁寧に確認をしていただきました。かなりセンシティブな内容であるところをしっかり気遣っていただいたなと思っております。
OS:導入前にやり取りが多い点について、クライアント様によっては、導入が大変だと思うかもしれないのですが、逆に密にいろいろ連携できた部分が信頼していただけるきっかけになったということですかね。
藤沼様:本当におっしゃる通りですね。導入手順のマニュアルを共有した後は「やっといてね」と言われる企業様もあるとは思うんですが、貴社はそうではなかったので。むしろちゃんとコミュニケーション取れるんだなとか、今後一緒にビジネスをしていくとなった時も、1パートナーとして目線を同じくやっていけるんだなという、信頼感を持ちました。
OS:ありがとうございます!ここまでポジティブなご感想をいただいておりますが、大変だったことなどはありましたか?
藤沼様:貴社からご提案いただいた施策は、弊団体から見るとかなり先進的な取り組みだったものもあり、部署内で説明したり、合意をとっていくことには時間がかかったと思います。
OS:ちなみに仕組みや安全性に関する説明は難しかったですか?
藤沼様:説明自体はしやすかったのですが、安全性という観点で社内で多く議論をしました。弊団体としては、一人ひとりの寄付者様とのコミュニケーションを大切にし、「寄付して良かった」と思っていただけるように日々業務に取り組んでおります。弊団体の寄付者様はご年配の方も多くいらっしゃるので、ほかの団体さんでもほとんど事例がないチャットボットを導入した際に、寄付者様にとって本当に親切なインターフェースになるんだろうかという懸念がすごくあったので、その点を議論したり調整する時間を多くかけてきました。
OS:確かに未知の施策ですし、ご年配の方だとチャットに慣れていないので大丈夫なのかなという懸念もありますよね。
藤沼様:はい。社内の状況を貴社にも連携させていただいた際に「5、60代向けの化粧品商材での実績もあります」とお伝えいただきました。また、「何か問題があった時やクレームが一定数来た時には施策を停止してOKと合意もいただきました。retailorの施策実施においてしっかりと成果が出る。かつ寄付者様の満足度が上がるようなサービスで、何かあった時にリスクヘッジができる。そのような座組みをご提案いただいたおかげで社内でも安心して施策実施にGOを出せました。
OS:そんな背景があったんですね。貴社の場合はPDCAを回すためにLPもこだわっていて、洗練されている箇所が多かったので我々も作業しやすく、結果にも繋がったと思っています。
CVR123%改善で、「これはやったぞ」という喜び
OS:ではここから導入後の成果についてお伺いしたいと思います。元々は数字的な課題感が大きかったと思うのですが、retailorを導入してどのような変化がありましたか?
藤沼様:現時点ですと第3弾の施策までやらせていただいているのですが、特に第3弾はやはり目に見えて成果が上がっていますよね。123%の改善幅があって、お申込み件数も純増で25件くらいの上げ幅を持っていただいているので、自社主導の施策では到達できなかった素晴らしい成果を上げていただいています。ここからさらに成果を上げられるようなコミュニケーションをいただいておりますので、さらなる改善施策を実施したいと考えています。
OS:ありがとうございます。成果を感じていただけているようなので安心しました。CVRや件数の変化があったということでしたが、その変化はすぐに感じられましたか?
藤沼様:全3回テストをして、第1弾が微増、第2弾であまり成果にならずという状況でした。ただ成果が出なかった時も、「ちゃんと成果が出るまでやりましょう」という言葉を信用させていただきました。思うように成果がでない際にもしっかりと仮説検証や打ち手の考察などを実施して、第3弾テストで大幅に成果が上がった際に「お、きたか!」、「やったぞ!!」と喜んだのを鮮明に覚えています。
OS:1回目のテストから1年くらい経ったのかなと。3回目の施策の実施に当たっては4か月くらい待機期間がありましたね。
藤沼様:そうですね。お待たせしてしまい恐縮です。
OS:いえいえ。早期に結果を求めているクライアント様だと、1、2回目でなかなか結果が出ない場合、その後のお取り組みが難しくなっていくことも多いので、第3弾まで一緒に伴走でき、一緒に喜び合えたのがすごく良かったなと思います。ちなみに社内全体や、寄付者様からのご反響はありましたか?
藤沼様:あったとは思います。ただ最も反響があった話ですと業界で私と同じ業務を担当している方からの注目度が高まったことはあるかもしれません。実際にNPOの勉強会で講師をしてほしいとご依頼いただくことがありました。LPOやEFOなど、retailorも含めて業界では比較的先進的な取り組みをさせていただいているので、他団体様からの注目度も上がっているのかと感じています。
OS:その一助を担えているなら本当に嬉しいです!ちなみに導入して分かったメリットや意外とこういう使い方もあるんだというものはありましたか?
藤沼様:正直に申し上げますと、導入時には一部の寄付者様から「使いにくい」といったネガティブなお声を頂戴することは避けられないかなと思っていました。しかし蓋を開けてみると私が把握している限りネガティブなお声は一件も来ていないんですね。施策の成果も上がりつつネガティブなフィードバックがないということで、retailorによって寄付者様にとってより気持ちよくお申込み手続きをしていただけるようになったということだと理解をしています。寄付者様とすごく良いコミュニケーションがとれているんだという実感を持てました。
OS:確かに想定だと多少はありえるかなと思いますよね。では導入直後の成果についてお伺いします。現在行っている第3弾テストも含めて、改善提案していく点がretailorの特徴になってくるのですが、その点に関してご感想はいかがですか?
藤沼様:成果はもちろんですが、寄付者様の満足度を上げていく文脈で施策をどんどんご提案いただくことに関して、すごくありがたいなと思っております。
OS:ちなみに、導入前の弊社担当者の対応は、ポジティブな印象だったと思うのですが、導入後も変わらずですか?
藤沼様:変わらずですね。
OS:どういったところがポイントで、快い印象を持っていただいたのでしょうか。
藤沼様:チャットベースのやり取りが多いのですが、すごく丁寧にコミュニケーションをしてくださっているので、気になったところがあればすぐに連携させていただきますし、それに対してすごく丁寧にお戻しをいただけるので、そういう面ですごく信頼があります。
OS:ここまでいろいろとお伺いしてきましたが、現状の満足度としてはいかがですか?
藤沼様:大変満足しています。点数で申しますと今後のさらなる取り組みでの上昇幅を踏まえて、あえて80点をつけさせていただきます。
OS:ありがとうございます。残りの20点には期待を込めていただいているのかなと思うのですが、具体的に期待しているポイントはありますか?
藤沼様:ずばりこれは成果の面です。目標とする成果に到達するまで改善をしてくださるところに最も大きい期待をしています。登山でいうと八合目くらいに来ているのかなと思います。ここからが本当の勝負になりますが、一緒に山頂まで到達できるのを楽しみにしております。
寄付者様の満足度を上げるコミュニケーションへ
OS:未来のお話が出たので、この流れでお伺いしたいのですが、ここから改めて貴社が取り組んでいきたいことやチャレンジしていきたいことを差し支えない範囲で教えていただきたいです。
藤沼様:2点あります。1点目は、やはり「活動を守り、さらには広げていくこと」です。日本国内の子どもたちに学びや挑戦の機会を届け続けていくため、世の中に対して届けたい価値をしっかりと発信し、より共感していただけるようなコミュニケーション施策の精度をさらに高めて行きたいと考えています。
2点目は、「寄付して良かったと寄付者様に思っていただくこと」です。NPOの難しい部分として、ご寄付をしてくださる寄付者さんと実際に支援を受ける生徒が違うんですね。となるとどうしても支援による成果の実感を得にくかったり、コミュニケーションの距離が遠くなってしまったりと、難しさがあります。だからこそ、「カタリバだから寄付してよかった」、「もっと応援し続けたい」と感じていただけるような寄付者体験を作っていきたいと考えております。
また、寄付者様のご満足度という点でもう少し深堀りしますと、EFOはとても満足度を向上しやすい施策だと感じています。弊団体では、おもに「広告→LP→お申込みフォーム」の順番でコミュニケーションを行っていますが、どうしても多くお時間を頂戴してしまいます。これだけ情報があふれた世の中で、貴重なお時間をいただき、広告などを通じて直接自分とは関係ないかもしれない社会課題や、弊団体の活動に耳を傾けてくださること自体が、すごいことですし、知ってくださったことがもうすごくありがたいのですが、さらにLPまで読んでくださったり、カタリバを支援したいとご寄付までくださるのは本当に感謝の気持ちでいっぱいになります。
しかしながら、弊団体はできるだけ丁寧に、誠実にコミュニケーションをすることを心がけておりますので、社会課題や活動を知っていただく上では、どうしても多くお時間を頂戴することになりますし、広告やLPのコンテンツ量は削りにくかったりします。
一方で、お申込みフォームに関してはできる限りお申込みの手間を少なくすることで、ご寄付をしやすい状況を作り、寄付者様の満足度を上げられると考えています。
OS:ありがとうございます。寄付して終わりではなく、貴社によりポジティブに思っていただけるよう、満足度を上げていくというベクトルでチャットを活用できたらと思いました。
藤沼様:そうおっしゃっていただき大変心強いです。既にすばらしいコミュニケーションを実現できていると思いますが、さらに洗練させていけるとなるととてもうれしく思います。
OS:今は入力フォームのチャット活用がメインですが、LPやサンクスページにもチャットを出せるので、範囲を広げていきながら、もっともベストな対話型のコミュニケーションを見つけていければいいなと思っています。
藤沼様:そうですね。今はお申込みフォームの部分でお力添えいただいておりますが、今後は他の箇所でも協働できるとなると大変うれしく思います。
OS:直近だとLPへの活用事例が増えていますね。従来のLPは一方通行というか、無機質じゃないですか。どういう動機で来てくださったのかを汲み取り、ご意向に合わせたコミュニケーションを取っていく店舗の接客のような形がベストなので、応用して活用しています。
藤沼様:たしかにチャットは接客ですね。
OS:入力して終わりってなるとどうしても温度差があるので、心からちゃんと満足できるようなコミュニケーションにできたらいいなと思っています。
藤沼様:まだまだお知恵をお借りしたいポイントですので、ぜひよろしくお願いいたします。
OS:ぜひいろいろと新たなことをご相談いただきたいです。特に、貴社とは新しいお取り組みが模索できそうだなと思ったので、これからも一緒に取り組んでいけたら嬉しいです。それでは最後に、retailorを検討中の企業様に一言頂戴してもよろしいでしょうか。
藤沼様:私としては、ぜひ導入していただきたいと思っています。同じ目線で改善していけるので、作りきって終わりではなく、しっかりと成果にコミットしていただける点に信頼感があります。私は声を大にしておすすめできる施策だと思っています。
OS:ありがとうございます!
認定NPO法人カタリバ
ファンドレイジング部
Web広告の制作やLPO・EFOの施策によって、新規の寄付者様の募集のためのコミュニケーション設計を行っていらっしゃる。